申請することを知らなければもらえずに損する給付金や補助金がある一方で、「もらえるなら……」と受け取ってしまったことで、まさかの損をすることもある。「失敗しないお金のもらい方」とはどのようなものか。
大阪府枚方市に住む主婦・Aさん(63才)が肩を落とす。
「住んでいる自治体で、最新の省エネ家電を買ったら補助金を出すという知らせを見たんです。今年の冬も電気代は高いままだろうし、いま使っているものもまだまだ現役だけど、思い切って買い替えた。
なのに、もらえた補助金はわずか1万円ちょっと。購入代金の足しにもならないし、結果的に電気代がどれくらい節約できたかは比べようもない。大損した気分です」
Aさんが申請したのは、複数の自治体で環境配慮や値上げ対策の一環として、最新の省エネ家電への買い替えを促し補助金を出す「省エネ家電買い替え促進事業補助金」だ。ファイナンシャルプランナーで消費生活アドバイザーの丸山晴美さんが説明する。
「確かに、白物家電は9月に値引きされやすく、まさにいまが買い替えのチャンス。もともと買い替えを検討していたのなら、補助金を利用していまの時期に買い替えるのがお得なのは言うまでもありません。ですが、補助金のためだけにまだ問題なく使える家電を買い替えるのは、出費がかさむだけで本末転倒です」
「失業保険」「3分の2残し」する
「もらえるお金」を申請したがために、かえって損するケースもある。気をつけるべき代表格が「失業保険」だ。神奈川県在住のパート女性・Bさん(56才)は、夫の失業をきっかけにスーパーで働くことになり、夫は失業保険を申請。だが、そこに思わぬ落とし穴があった。
「申請後、すぐに新しい職が見つかったんです。でも夫は“失業保険がもらえなくなる”と言って、いつまでも再就職を先延ばしにしていました。結局、失業保険を満額もらってからの再就職になりましたが、よくよく調べたらもっと早く就いていれば再就職手当がもらえていた。しかも受け取っていた失業保険よりも額が多い。こんなことなら失業保険なんかもらうんじゃなかったと夫婦揃ってがっかりしています」