仕事をしたくてもできない失業者にとって、離職前の給与の5~8割程度が受け取れる「失業保険(雇用保険の基本手当)」は命綱だ。
他方、失業保険の受給中に再就職すると受け取れるのが「再就職手当」。これを受け取ると、失業保険は自動的に打ち切りとなる。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんが言う。
「失業保険を受け取れる日数は、離職前の勤続年数と年齢、離職理由によって変わります。そして、受け取れる期間中に就職が決まると、残りの期間で受け取れる金額の一部を受給することができるのが再就職手当です。そのため、この2つを同時に受け取ることはできません。また、失業保険の支給日数が3分の1以上残っていなければ、再就職手当は受け取れません」
それなら、満額の失業保険をもらい終えてから、再就職手当は受け取らずに再就職するのがお得だと思うかもしれない。だが、それはあまりにも安直だ。
「失業保険の支給残日数が3分の1以上の場合、再就職手当は残りの金額の60%しか受け取れませんが、日数が3分の2以上残っていれば支給額は70%となり、同時に給与も入ります。支給日数が3分の2以上残るように、できるだけ早く再就職した方が結果的にはお得です」(丸山さん)
仮に失業保険を満額受け取れたとしても、その間は厚生年金に入ることはできないというデメリットもある。
「支払いの面では国民年金の減免措置を受けられることもありますが、将来受給できる年金額は厚生年金と比較するとどうしても減ってしまう。金額に気を取られず、少しでも早く再就職できるよう動くに越したことはないでしょう」(風呂内さん)