食費を節約するなら自炊が一番!と思っている人もいるかもしれないが、はたしてそれは本当だろうか。コロナ禍は私たちの生活を大きく変えたが、食のスタイルも激変。外食が減り自宅での食事が増えた分、総菜や弁当、デリバリーなどの「中食」が進化し、ブームを超えて新たな習慣として定着しつつある。
都内で夫とふたり暮らしの主婦のTさん(67才)が言う。
「便利なだけじゃなく、味もおいしくなって利用する機会はすごく増えています。もう、1人分や2人分の料理を作るのがすっかり面倒になってしまって、週の半分以上は総菜が並ぶことも。娘からは“無駄遣い”だと注意されるんですが、実は総菜で買った方が安い気もして……」
一方、Tさんの娘は、1男1女の子育て中で、総菜や外食が続くと家計が逼迫するため、弁当を含め1日3食、手作りしているという。
節約に詳しく、3人姉妹の母でもあるライターの三木ちなさんも「自炊派」だ。
「自炊は、安いだけでなく“早い”です。総菜は日持ちがしないから、その日に食べたいものを買いに行かなければならない。でも、自炊なら週に1回スーパーに行っておけば、冷蔵庫にあるものでパパッと作れます。市販品のように味に飽きることもなく、ゴミも少なくすむし、メリットの方が多いかなと思っています」(三木さん)
節約アドバイザーでファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんは、家族構成やそれぞれの食べる量によってコスパが異なると指摘する。
「食べ盛りのお子さんがいれば自炊メインの方が節約になりますが、夫婦ふたり暮らしとか、子供がもう大きくなって家でほとんどご飯を食べないとか、ひとりで食べるランチとかならば買った方が安い場合も少なくありません。
一方、少食の家庭でも、作りおきをすれば節約になるという考え方もありますが、食べ切れずに傷んでしまうことだってあります。だったらその日に食べ切る分だけ買った方がコスパはいいといえます」(丸山さん)