「資産運用立国」という構想自体を否定するつもりはないが、それを目指すには日本社会は少し年を取り過ぎたということだ。高齢化率はすでに3割である。
このまま政策を進めても、既存の投資家や富裕層を優遇するだけに終わりそうだが、それでも岸田首相が「資産運用立国」を推進するというなら、是が非でも若い世代の収入が持続的に上昇するようにすることである。
若い世代の多くが投資にもお金を回せる所得水準になったとき、はじめて「資産運用立国」が実現する。
【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。主な著書に、ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)などがある。