「商売抜きでやってます」
そんな“慎重なスタンス”が、優勝セールの出足にも影響しているようだ。優勝が決まった翌日の9月15日、「めでタイガー」近くで店を構える店主からは、こんな声が。
「あまり早く準備するな、という空気だったのでノンビリしていたが、9月8日にマジックが10になってからは早かったね。そこから6日目で優勝ですわ。こんな早いとは思わんから、ほとんどの店で十分な準備ができていない。他の店でも監督の背番号『80』、『18』年ぶり、『2023』年といった数字に合わせた値段の優勝セールの商品を用意しているが、うちで売り切れたのは子供向けの18円の商品だけ。大赤字ですわ。でも18年ぶりやからね。今日は商売抜きでやってます」
別の商店主もこう苦笑いする。
「商店街からのテレビの生中継がいくつもあるので、それに映りたいと近所の人が商店街にあふれ返ったけど、店の前は素通りですわ」
優勝記念でレモンサワーや生ビールを半額にした飲食店では、料理は頼まず生ビールを飲むだけのツワモノもいたといい、店側の思いは複雑そうだ。
18年ぶりの優勝で、なかなかすべてが期待した通りにはいかないようだが、盛り上がりはまだまだこれからかもしれない。同商店街のある商店主はこうコメントした。
「この先、クライマックスシリーズもあるし、日本シリーズも控えている。今回は予行演習みたいなもんで、日本一の時はうまくやりますわ」
さすが商魂たくましいナニワの商人である。この先の短期決戦で、阪神のほうが期待を裏切らないように願いたい。(了)