投資情報会社・フィスコが、株式市場の9月11日~9月15日の動きを振り返りつつ、9月19日~9月22日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で926.25円(2.8%)高の33533.09円と2週間ぶりに反発し、8月1日の戻り高値33488.77円を15日終値で更新した。日本銀行によるマイナス金利政策の解除への思惑が強まるなか週初は売りが先行。ただ、国内長期金利の上昇一服に伴い下げ止まると、その後は9月の中間配当権利取りを狙った買いや原油市況の上昇を背景に景気敏感・バリュー(割安)株が相場をけん引。米8月消費者物価指数(CPI)が予想並みだったことで金融引き締め懸念が後退するとハイテクにも買いが入り、相場上昇に弾みがついた。週末は米8月小売売上高が予想を上回ったほか、中国人民銀行(中央銀行)が今年2度目となる預金準備率の引き下げを発表したことで世界経済のソフトランディング(軟着陸)期待が高まり、為替の円安も追い風となるなか日経平均はさらに上値を伸ばした。
今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合が最大の焦点となる。米8月消費者物価指数(CPI)は、食品・エネルギーを除くコア指数が前年比+4.3%と7月(+4.7%)から減速し、約2年ぶりの小幅な伸びにとどまった。これを受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)が19-20日に開催するFOMCでは金利が据え置かれる可能性が高まっている。一方、今会合では最新の経済・政策金利見通しも公表される予定で、今年末および来年末の政策金利中央値が注目される。金利先物市場は年内の追加利上げの織り込みが6割程度にとどまり、来年末時点については0.25ポイントの利下げ3回分の実施を織り込んでいる。政策金利中央値が市場予想より高い場合には相場はネガティブに反応する可能性がある。
ただ、「政策判断はデータ次第で会合ごとに決定」とのパウエルFRB議長の従来の方針に大きな変更はないとみられる。利上げサイクル終了期待は根強く残り、株式市場が急落するような事態は避けられるだろう。また、欧州中央銀行(ECB)が14日、0.25ポイントの10会合連続での利上げを決定した一方で、利上げ打ち止めの可能性を示唆したことも、今回のFOMCでの利上げ見送りの間接的な支援材料になりそうだ。
他方、9日付の読売新聞が報じた植田日銀総裁のインタビューを契機に、一時、政策修正観測が急速に高まった。ただ、週末には総裁発言と市場解釈にギャップがあるとした一部報道が伝わり、警戒感は後退した。仮に年内の追加政策修正があったとしてもそれは9月会合以降の話で、今週21-22日の金融政策決定会合では現状維持が決定され、無難に消化されることが予想される。