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生前贈与の“王道”暦年贈与が2024年から制度変更 持ち戻しがなくなった「相続時精算課税制度」の活用も

相続税対策の王道と言われる「暦年贈与」の注意点は?

相続税対策の王道と言われる「暦年贈与」の注意点は?

 老後資産は、自分だけでなく、子や孫にどう遺すかも重要だ。その際の選択肢の1つが、生きているうちに子や孫に財産を渡す「生前贈与」の制度を活用することだ。相続税対策として有効だが、人によってはこれが不幸の“入り口”になることもある。相続・贈与に詳しい税理士の山本宏氏が語る。

「注意したいのが、亡くなった時の相続税の金額を把握しないまま闇雲に生前贈与することです。相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)をもとに事前に計算することが大事。

 たとえば妻1人、子供2人が相続人の場合、相続財産が4800万円まで相続税はかかりません。節税という言葉に踊らされて生前贈与を続けると、老後資金が不足し、自分の生活が脅かされることになりかねません。まずは、生前贈与が必要かどうかをきちんと見極めることが大切です」(以下、「 」内は山本氏)

 よかれと思って行なった生前贈与がむしろ“争族”を招くこともある。子や孫が複数いるケースは特に気を付けたい。

「生前贈与の金額は兄弟間で内緒にすることが多く、死後に実態を知って揉めるケースが少なくない。たとえば長男のところの孫3人、次男の家の孫2人に110万円ずつ生前贈与すると長男家に330万円、次男家に220万円と大差が生じてトラブルになります。親からしてみれば教育費の負担分を考慮して平等に分けたつもりでも、子は不平等と受け止めることも多い。生前によく話し合ったうえで贈与額を決めるべきです」

 子の将来のためと子供名義で口座を作って、“生前贈与したつもり”になるのも危険だ。

「子がその口座の存在を把握していないと、親の名義預金とみなされる。そのため生前贈与が無効となり、相続税を課されることになります。相続は正式な手続きを踏むことが鉄則です」

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