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生前贈与の“王道”暦年贈与が2024年から制度変更 持ち戻しがなくなった「相続時精算課税制度」の活用も

“持ち戻し”に注意

 今後は贈与の方法にも選択が迫られることになりそうだ。これまでは年間110万円までの贈与が非課税となる「暦年贈与」が相続税対策の王道とされてきたが、来年1月からは制度が大きく変わる。

「これまでは被相続人が亡くなる3年以内の生前贈与までが“持ち戻し期間”として相続税の課税対象でしたが、来年からこの期間が7年間に延長(一定の調整あり)されます。つまり課税期間が長くなるので、これまでと同様の暦年贈与をしても税負担が増えてしまう可能性がある。ただし、持ち戻しの対象となるのは、子などの『相続人』に限られ、贈与先を『孫』にすれば持ち戻し期間延長の影響を受けずに贈与できます」

 節税の定石である暦年贈与への課税強化が進むなか、注目されるのが「相続時精算課税制度」だ。

「贈与の累計が2500万円に達するまで贈与税がかからず、相続発生時に贈与分を遺産額と合計して相続税を算出する仕組みです。あとでまとめて相続税がかかるのでこれまでは節税効果のない制度でしたが、来年からは『年110万円の基礎控除枠』が新設されます。

 しかもその枠は、相続発生時の持ち戻しがない。つまり累計2500万円+年110万円まで贈与税が非課税になるうえに、相続発生時の精算も基礎控除を除く額でよくなりました。ただし、この制度は使える人に制限があったり税務署への申告が必要だったりと条件や手続きが厳しいので、利用を考える際は慎重に行ないましょう」

 与えるほうも、与えられるほうも幸せになる生前贈与を目指したい。

※週刊ポスト2023年9月29日号

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