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「近所の変わり者が道に害虫駆除剤をまいている!」愛犬が散歩中に口にしたら大変、どう対処するのが正解か

愛犬が駆除剤を口にしないか心配…(イラスト/大野文彰)

愛犬が駆除剤を口にしないか心配…(イラスト/大野文彰)

 ペットのトラブルにどう対処するか──。もしも、近所の人がまいた“害虫駆除剤”を自分の愛犬が食べて体調を崩した場合、その駆除剤をまいた人に犬の治療費を請求できるのだろうか? 実際の相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 犬の散歩で毎日通る道に、お菓子のような害虫駆除剤がまかれています。その道沿いの家の人がまいたことが判明しましたが、その人は近所でも評判の変わり者です。トラブルを避けるため、自治会や保健所、市役所にも相談しましたが、動いてもらえません。

 もし犬がその害虫駆除剤を食べて体調を崩すなどした場合、治療費をこの家主に請求できますか。(奈良県・55才・主婦)

【回答】
 犬が食べることを心配していらっしゃるので、その害虫駆除剤は粒状になっているものと思います。犬が食べた後に体調を崩した場合、その治療費等を請求するためには、

【1】害虫駆除剤の中に毒性成分が含まれ、一定程度以上の量を食べると小動物を害する可能性があることが前提になります。そして、
【2】実際に毒性が一定量以上になる粒を犬が食べたこと
【3】体調不良が発生したこと
【4】その原因がその害虫駆除剤を食べた結果である(つまり因果関係がある)こと

 これらを証明する必要があります。獣医師の診断書で証明できる【3】の症状が、【1】の毒性の影響として知られている状態と一致しており、ほかに思い当たる原因がなければ、因果関係が認められる根拠になります。

【2】はあなたの証言だけになる場合でも、犬の症状がその駆除剤の毒性特有のものであれば信用されると思います。

 これらの証明ができる場合、好奇心の強い犬であれば道にまかれた駆除剤の粒を食べてしまう可能性があり、毒性を疑われる異物を食べれば悪影響が出ることも予見できますので、駆除剤をまいて他人の飼い犬に障害を与えた人は、飼い主に不法行為をしたことになり、治療費を賠償する義務を負います。

 問題はすべての前提である【1】です。そのような毒性があるのかを調査する必要があります。害虫駆除剤の駆除対象はハエや蚊、あるいはノミなどの小さな昆虫です。犬などは小動物であっても昆虫に比べれば比較にならないほど大きいので、害虫に効き目があるからといって、その毒性がただちに犬に悪影響を及ぼすかどうかには疑問を感じます。

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