ご近所トラブルの原因になりやすい「騒音」。それが涼をもたらす風鈴であっても騒音とみなされるのだろうか? 実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
マンションの隣の住人が異常なんです。風鈴をベランダに吊るしたところ、音がうるさいとのクレーム。私も意地になり、外さないでいたら、2日に1回、郵便受けに「風鈴の音がやかましい」と書かれたメモが投函される始末。これって脅迫罪になりますよね。というか、風鈴の音色は騒音になるのですか。
【回答】
風鈴は涼を感じさせる夏の風物詩です。そよ風で鳴る風鈴に目くじらを立てる人は少ないでしょうが、小さな風鈴でも大風が吹いている間は、大きな音を出し続けるため、生活騒音になります。東京都環境局も、身の回りのものが発生原因となる生活騒音の一例として風鈴を挙げています。
生活騒音を規制する法律はありませんが、『環境基本法』に基づき、人の健康を保護し、生活環境保全の上で維持されることが望ましい音の基準が、環境省告示で定められています。例えば、住宅地の夜間であれば45dbまでです。エアコンは、41~59dbとされています。
この基準には法的拘束力はありませんが、日常生活で遵守すべきこと。生活騒音は暮らしていく上で、避けられないので我慢が求められますが、社会生活において互いに受忍できる限度を超えれば、不法行為になります。この受忍限度は、住環境や居住者の生活ぶり等も考え合わせて判断されます。
一方、隣人のメモ投函は、それだけでは脅迫とまではいえないように思いますが、中止を求めても理由なく継続されれば、平穏な生活を脅かす不法行為になる可能性はあります。しかし、あなたも隣人を異常と決めつけて意地になる前に、苦情の申し出の背景を隣人や管理会社に確認すべきです。