実際にレベル4の自動車両に乗ってみると、ドライバー不在による支障を感じることは特にない。スムーズな乗り心地で、20年以上前に廃止された京福電鉄永平寺線の廃線跡を利用した遊歩道を進んでいく。最大時速12kmのジョギングペースなので、怖さを感じることもない。車両は基本的に吹き抜けなので、山間の心地よい風も感じることもできる。
取材当日は、家族旅行の下見のために、近隣の鯖江市から乗りに来たという人も。
「興味があるけど、ドライバーがいない状態でどうやって動くのかなと思って、試しに乗りに来ました。乗り心地もよくて、安全だったので、今度は家族と一緒に乗りに来ます」(鯖江市・40代男性)
ドライバーのなり手不足が取り組みを加速させる
自動運転はドライバーのなり手不足の解消手段、過疎地域の交通の切り札になることが期待されているが、課題も少なくない。
大きなハードルになっているのが、現段階で運行可能な区間が限られていることだ。現在の車両が国道を通るのは可能だが、今の時点では車が通る道路と交差しない遊歩道の走行に限られている。最寄り駅のえちぜん鉄道永平寺口駅からは4km以上離れており、自動運転車両の走行区間に病院やスーパーなどの施設はない。そのため、現時点では住民の足になっているとは言いがたいのが実情である。
運行区間が約2kmに限られているのも、遊歩道の「永平寺参ろーど」が、途中で国道364号線と交差しているからだ。こうした事情を踏まえると、現段階では、レベル4自動運転は他の車が通らない遊歩道、テーマパークなどの施設内での運行から始まると思われる。路線バスで住民の足になるまでには、まだ時間を要するとみられる。