保険金不正請求問題に端を発したビッグモーターの騒動は、「中古車売買」の市場全体への不信感を招いている。悪徳業者や言葉巧みなセールスマンにダマされないための注意点を、“その道のプロ”たちが明かす。
ビッグモーター問題で、とりわけ消費者への影響が憂慮されるのが、中古車売買をめぐるトラブルだ。国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられたビッグモーターに関する相談件数は、10年間で6倍近くに急増して昨年度は1491件を数える(7月31日時点での集計、以下同)。詳しい内訳は明かしていないが、中古車の売買に関する相談も多いという。
ビッグモーターだけではない。国民生活センターのPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録された中古車に関する相談は年間7000件ほどで、同サイトHPには最近の事例として「買い取り後に修復歴を理由に100万円の返金を求められた」「購入した中古車が納車から1か月でエンストした」などのトラブルが紹介されている。自動車ライターの萩原文博氏が語る。
「車の売買に関して、事業者と消費者との間には知識や交渉力に大きな差があるため、強引に商談を進められてトラブルとなるケースが後を絶ちません。さらに近年は半導体不足の影響で新車の納車遅延が発生し、中古車を選ぶ消費者が急増しています。帝国データバンクの調査によると、2022年度の中古車販売市場は過去最高の3.9兆円規模に成長しています。今後も市場が拡大すると予想されるため、後悔しない選び方が求められます」
最大手企業に疑惑が噴出して市場全体が大揺れするなか、悪徳業者にダマされないためにはどうすればいいのか。