逆に何度も書き直したことで複数の遺言書が残り、どの遺言のどの条文が有効なのかで揉めるケースもあるので注意したい。
吉澤氏によれば「遺言書がないほうが揉めるケースが多い」というから作成すること自体は間違っていないが、そのうえでトラブルを防ぐための心遣いが必要だ。
「たとえば、遺言書に“長男に全財産を相続させるのは、長年、同居して介護をしてくれたことへの感謝の気持ちだ。次男には自宅購入時に頭金500万円を援助しているのだから理解してほしい”といった『付言』も併せて記載しておけば、弟が納得する場合が多い。特に法定相続分とは異なる割合で遺産分割を考えているなら、必ず書き残しておきましょう」
自分の死後、家族にヒビが入るのは避けたい。
※週刊ポスト2023年9月29日号