人生の最後を誰と暮らすかの選択を間違えると、不幸を招く。配偶者に先立たれ、子供が心配するからと、今まで離れていた子世帯と同居することは生活面において大きなリスクがあるのだという。ケアタウン総合研究所所長の高室成幸氏が指摘する。
「子世帯との同居はお勧めしません。現代の日本は核家族が基本となり、子供は成人したら自分の生活を築いていくのが一般的です。20~30年離れて暮らしていた子供と歳を取ったからと同居しても、以前のように仲良く共同生活を送れるケースは稀です。我慢を強いられ、死ぬまでストレスを溜めて生活することになりかねません」
子供との同居には主に3つのパターンがあり、いずれにも懸念される問題があるという(掲載の図参照)。
高室氏が解説する。
「1つ目の『子供の家に親が居候するパターン』は、嫁や孫がいれば“他人の家”で暮らすことになり、煙たがられやすい。また、もともと住んでいた地域を離れることになれば周囲に知り合いがいないため、外出機会が減って引きこもるようになってうつや認知症につながることが少なくない。
2つ目の『子がUターンなどで出戻るパターン』は、子供が親に甘えがちで経済面で窮地に陥るケースが多い。実際にあった例では、就職して都会に出て行った子供が親の面倒を見るといって実家に戻ったのですが、転職先が合わず会社を辞めて引きこもってしまい、高齢の親の年金で子供が生活する“8050問題”状態になってしまった。
3つ目の『子供とお金を出し合って新居を購入するパターン』も要注意。実際にあったケースでは、広めの3LDKマンションで同居を始めてすぐ親が転倒して大腿骨頸部骨折で入院。介護老人保健施設でしばらく過ごすうちに、ひとり暮らしをしていた孫が戻ってきて自分の居場所がなくなっていたそうです」(以下、「 」内は高室氏)