人材不足で閉鎖の懸念
契約の手間が減り、同じヘルパーに見てもらうことで安心感を得られるといったメリットを享受できる可能性があるが、一方で「制度設計に懸念が残る」と横井氏は指摘する。
「12年前に今回の新サービスと似た『小規模多機能型居宅介護(小多機)』が創設されましたが、制度設計に難点があり、成功とは言い切れない状況です。デイサービスと訪問介護に加え、泊まりのショートステイを毎月定額で利用できるサービスなのですが、定額制なのでデイサービスだけでいい人にも訪問介護などの余分な費用負担があることがネック。
また、小多機を利用するに際して、馴染みのケアマネから小多機に所属するケアマネに変更する必要があることも利用をためらわせる要因と考えられています。新サービスの詳細はまだ明らかになっていませんが、小多機に沿った制度設計になる可能性があります」
また、デイサービス事業所に人手不足問題が発生する懸念もあるという。
訪問介護ヘルパーには介護職員初任者研修修了の資格が必要で、デイサービス事業者がどこまで人材を確保できるかは不透明だ。
「そのため、体力のある訪問介護やデイサービス事業所が統合して生き残りを図る一方、地域密着のデイサービスが取り残されて淘汰の波に飲まれ、閉鎖されるといった可能性も考えられます」