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【歯の異変を放置するリスク】20年ぶりに歯科医に行った漫画家の悲劇 “虫歯なし”でも“歯周病”であごの骨が溶けていた

マスク生活が長かったせいか、マスクを外した途端、相手の歯並びや歯の黒ずみが目につくことも(イラスト/白ふくろう舎)

マスク生活が長かったせいか、マスクを外した途端、相手の歯並びや歯の黒ずみが目につくことも(イラスト/白ふくろう舎)

歯が7~8本抜けたら 総入れ歯の可能性大

 歯周病や虫歯で失った歯が少ないうちは、まだ治療法はある。

「抜け落ちた歯が1本であれば、両側の歯を支えにして欠損した部分に人工的な歯を入れるブリッジ、2~3本であれば部分入れ歯で対処ができます。

 ただ、それ以上になると、治療はどんどん困難になります。特に抜け落ちた歯や、虫歯で痛んだ歯が7~8本になると総入れ歯も検討せざるを得ません」

 特に重度の歯周病の場合、歯を支える土台となる骨が溶けているため、入れ歯を作っても安定せずに違和感や痛みが生じ、長くつけているのが困難になるケースもあるというのだ。

前歯2本抜け落ちて…

 歯周病や肝臓などを悪くする以外に、うつ状態になってしまった人もいる。以下は、山本さんが治療した51才の女性の話だ。

「このかたは、歯科医院が苦手で、約20年ぶりにうちの病院に来たかたです。最初、口を閉じていたときはわかりませんでしたが、話を始めたら前歯2本が抜け落ち、それ以外も虫歯がひどくて歯茎も黒ずんでいました。

 おそらく、痛みも相当のものだったと思いますが、こういった患者さんは、歯が痛くても痛み止めをのんで我慢してしまうことが多いんです。それで痛みに慣れてしまって、そのまま日常生活を送っていると、ある日、突然歯が抜け落ちてしまうんです」

 絶望的な状況に思えるが、「それでもまだ、諦める必要はない」と、山本さんは言う。

「完全に健康な歯を取り戻すことはできませんが、医学の進歩により、なくした歯の部分に人工的に作られた歯根を埋めるインプラントなど、できることは増えています。まずは一日でも早く歯科健診を受けることが、自分の歯と健康を守ることになります。失う歯、虫歯によって削る歯も減らすことができますから」

 歯の病気は万病のもと。異変を感じたら放置しないよう心がけたい。

取材・文/廉屋友美乃

※女性セブン2023年10月12・19日号

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