日本歯周病学会の調査によると、日本人が歯を失う原因の1位は歯周病(37%)。罹患率は50才以上で50%を超える。その歯周病で歯を失ったのが漫画家のなるあすくさん(44才)だ。15才からの約20年間、一度も歯科医にかかったことがなかったという。
「毎日歯は磨いていたし、虫歯ができたこともなかったので、『歯医者さんに行く必要はない』と高を括っていたんです」(なるあすくさん・以下同)
時折歯が痛むことはあったが、「気のせい」とやり過ごしてきたという。
「痛くて寝られないとか、ご飯が食べられないこともなく、日常生活に支障をきたすことはありませんでした」
知らない間に「あごの骨が溶ける」
35才を過ぎたある日、異変が起こる。りんごをかじると血が出る、肉を噛もうとすると痛むなど、これまでと明らかに違う症状が現れたのだ。
「それでも、『まあ、いつか治るだろう』と思っていたのですが、歯の痛みが2~3日経っても治まらなくなり、これは一大事かもと思ってようやく歯医者に行ったんです」
歯科医院では、口腔内のレントゲンを撮り、その写真を見ながら、医師から次のように告げられた。
「歯周病ですね。右奥のあごの骨の一部が溶けています。今日診察できたから、失う歯が1本で済みましたが、そのまま放置していたら歯を支える骨が溶けて、すべての歯が抜け落ちるところでしたよ」
それを聞いて、背筋がゾッとしたという。
「ぼくの歯周病の知識は、歯茎から血が出る程度だったので……」(なるあすくさん・以下同)