ならば、日本は超高齢社会や低欲望社会という課題を解決する方策を模索し、世界のベンチマーク(指標)となるべきだろう。日本が未来像について独自の答えを示すべきという考えも、すでに『低欲望社会』で論じている。
〈この低欲望社会の出現は、人類がかつて経験したことのない現象であり、日本で世界に先駆けて進行していることなのである。だからこそ、それに対して新たな政策が必要なはずなのだ。しかし、安倍政権がやっているのは、十年一日のごとき昔ながらの自民党的バラ撒き政策だ。〉
〈本書の前半で私は、アベノミクスは日本では有効に機能しないと述べた。日本の「低欲望社会」では、20世紀を支配したケインズ的な経済理論が機能しないからだ。[中略]結局、学者や政治家の使える道具は、過去100年の間に欧米で開発されたものばかりなのである。新しい道具は、低欲望社会においても、日本人の心理に訴求するようなものでないといけない。〉
目指すべき方向は見えている。あとはその方向に踏み出すだけなのだ。