10月2日、ジャニーズ事務所が故ジャニー喜多川氏をめぐる性加害問題についての会見を開き、事務所の名称を「SMILE-UP.(スマイルアップ)」に変更すること、同社は被害者の補償に専念し、補償が終わり次第廃業することなどが発表された。現在所属しているタレントとは、新たに設立する会社でエージェント契約をするという。
ジャニー氏の姪で前社長の藤島ジュリー景子氏は会見に寄せたコメントで、「スマイルアップ」の100%株主として取締役にとどまるとした上で、その理由について、「法を超えた補償を行なうには、第三者の資本を入れるとできなくなるから」と述べている。
では、「法を超えた補償」の総額はどれほどになるのか。
性犯罪被害者の支援に取り組んでいる上谷さくら弁護士によると、「ケースバイケースだが、レイプの場合、民事裁判での賠償額は300万円程度が一定の水準」という。補償を求めたとされる325人に一人ずつ300万円を支払うと仮定すると、賠償額は10億円弱となる。
巨額に思えるが、ジュリー氏が加害者であるジャニー氏と、自身が鬼母のように表現したメリー氏から継承した1000億円ともいわれる資産からすれば、大きな負担とは言えないだろう。
「補償が終われば会社は清算されると思います。資産を整理し、残ったお金は株主で分配することになる」(同前)
867億円の相続税を収めることに
とすれば、資産のほとんどが100%株主であるジュリー氏のもとに残り、“勝ち逃げ”との批判も呼びそうだ。しかし、そうはならないはずだと、ある税理士は言う。
「ジュリー氏は会見で、相続税対策と指摘された『事業承継税制』の活用について『速やかに税金をお支払いする』と述べました。これによって猶予されている株の相続税は860億円と推計でき、それに利子を加えると約867億円もの相続税を納めることになります」