「お金を振り込もうと思ったら振り込めない」「振り込んだと思ったお金が振り込めていなかった」──三菱UFJ銀行、りそな銀行など11の金融機関で、他行宛の振り込みができなくなるシステム障害が3連休明けの10月10日朝から発生。利用者に大きな混乱をもたらした。同日のうちに障害は復旧せず、金融機関側の対応についての戸惑いや怒りの声も聞こえてくる。
10日に発生したのは、銀行間の振り込みを担う「全国銀行協会(全銀協)」のデータ通信システムの不具合だ。全銀協が、傘下の「全銀ネット(全国銀行資金決済ネットワーク)」の運営するシステムのトラブルを確認したのは同日午前8時半頃。システム中継コンピュータの切り替え作業中に不具合が発生したという。一時は約140万件の送金ができなくなり、同日中に代替の方法で処理を完了したのは約100万件にとどまったとされる。
三菱UFJ銀行をメインバンクとする東京・大田区の飲食店経営者が語る。
「10月10日の引き落としを控え、連休前の6日のうちにネットバンキングで、三菱UFJ銀行の口座から他金融機関の引き落とし口座への振り込みの操作を済ませていました。ところが、連休明けの10日午後になって地元の信用金庫や信用組合など各金融機関から『残高不足』の問い合わせが相次いだ。三菱UFJ銀行からの振り込みが処理されていなかったのです」
現金を持って金融機関に走った
10日午後の段階ではすでにシステム障害についての報道が出ていたが、引き落とし先金融機関の対応は冷淡だったという。
「中にはあれだけ大々的にニュースになっていたというのに、全銀システムの大規模障害を把握していない担当者もいて、こちらの不手際を疑うような応対もされた。報道されている内容を伝えても『着金側では(振り込みの事実)を確認できないので、送金元の銀行に問い合わせを』『とにかく残高不足を解消してください』の一点張りでした。仕方なく各金融機関に出向き、『不足』とされる分を現金で入金することになりました」(前出・飲食店経営者)
企業だけでなく、個人事業主や自営業者にとっても決済の遅れは信用にかかわる重大問題だ。前出の飲食店経営者は三菱UFJ銀行に問い合わせを入れようとしたが、そこでも困難に突き当たったのだという。
「コールセンターに電話をかけても、20分以上つながらない。混み合っているのは仕方ないにせよ『お待ちいただいている時間が一定以上になりますと、誠に勝手ながら当方から切らせていただく場合がございます』との自動音声には腹が立ちました」