派遣社員の勤務トラブル。たとえば、募集内容とは異なる業務を命じられた結果、予定されていた時間よりも、短い時間しか働かなかった場合、給料はどうなるのだろか? 実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
日雇い派遣の仕事で勤務先に着いたら、「今日は物流が少ないから」と言われ、募集内容と違う仕事をさせられました。しかも、7時間勤務の予定が3時間で終了。派遣元に報告しましたが、「仕方がない」としか言われず、給料の保障もありませんでした。7時間分の給料をもらえるから応募したのに3時間分の給料では納得できません。給料を保障してもらうことはできないのでしょうか。(千葉県・47才女性・派遣)
【回答】
日雇い派遣とは、派遣登録をしている労働者に対して派遣元会社が1日単位で派遣先の労働に派遣するものです。
日雇いについては、必要な雇用管理が充分になされず、派遣労働者の保護に欠けることが以前から懸念され、原則禁止とされています。
しかし例外として、適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業種で、政令で指定した特定の業務、あるいは高齢者や学生のような雇用機会の確保が困難な労働者に限り、日雇い派遣が認められています。ご質問の場合もこうした例外の場合という前提で考えます。
日雇い派遣をするときには派遣元会社と派遣労働者との間で労働契約が結ばれることになるので、派遣元会社は労働条件を明示する義務があります。
具体的には、労働契約の期間に関する事項、就業の場所及び従事すべき業務に関する事項、就業日、労働時間に関する事項、賃金に関する事項及び退職に関する事項についてです。
これらを労働条件として、派遣元会社が派遣労働者に対し、書面交付、FAX、メール、SNSなどの方法によって、確実に明示しなければなりません。
派遣元会社と派遣労働者との間では、この明示された労働条件に従った雇用契約が成立します。あなたも前記のいずれかの方法で労働条件明示書を受け取っていると思うので確認してください。