人生100年時代、年齢を重ねても働き続ける人がどんどん増えている。そこで強い味方になるのが「資格」だ。キャリアアップや収入増、そして生きがいを得るうえでも大きな武器になる。資格取得で人生後半戦を輝かせている人に話を聞いた。
精密機器大手・リコーを定年退職
2020年3月に60歳を迎え、精密機器大手・リコーを定年退職した野毛由文さん(63)は当時をこう振り返る。
「リコーでは雇用延長で65歳まで働くことができて、9割方の人がその道を選びますが、それ以降は仕事がなくなります。雇用延長も悪くない。だけど、65歳以降も長い人生が残ることを考えると、自分は完全リタイアした状況で耐えられるのかと考えました」
独立する道を選んだ野毛さんは同社を退職後すぐ、大手企業での経験を中小・ベンチャー企業に伝える「顧問」としての働き口をマッチングするサイトに登録した。しかし、企業からの良いオファーはもらえなかった。
「会社員時代は企画、開発、営業からアフターサービスまで一気通貫で携わりました。その経験を活かして中小製造業のコンサルタントをしようと思ったのですが、全然上手くいきませんでした」
それでも地道に地域の中小企業経営者との交流会などを通して人脈を広げていくなかで、野毛さんは多くの中小製造業が抱える課題を見つける。
「製造工程のデジタル化などが上手くいかず、生産性の向上や業務の改善に悩んでいる社長さんが多かった。DX(デジタルトランスフォーメーション)を提案するコンサルタントに需要があるのではと考えました」