場合によっては、息子の妻(嫁)と長い期間にわたって生活しなくてはならない。そこにも厳しい現実がある。
「民法上、嫁は相続権のない赤の他人です。嫁の側から見ても、2?3年の同居ならまだしも、“長生きする夫の親”との関係が20年、30年と続くのは苦痛。認知症になれば日中、家にいることが多い嫁に介護の負担がのしかかりかねない。
世話をしてあげたのに、義父が“物盗られ妄想”にとらわれれば、泥棒呼ばわりされかねない。そんな仕打ちを受けたら、とても耐えられないでしょう。子世代の家庭が崩壊しかねません」(同前)
では、不用意な同居を避けるためには、どう行動すべきなのか。
「最近では子が親の面倒を見るというより、子のほうから親の支援を頼ってくることがあり、同居の申し出を断わるのは簡単ではありませんが、『自分の体を衰えさせないためにも、身の回りのことは自分でやるよ』と宣言をすることが大事だと思います。もちろん、それに伴うリスクも自分で引き受けると伝えたうえで、認知症になったら施設に入れてもらうようにはっきり頼んでおけば、お互いに不安を減らすことができます」(辻川氏)
※週刊ポスト2023年10月27日・11月3日号