しかし、【2】については作業服着用が義務付けられ、違反すると懲戒処分を受けたり、考課上マイナス評価になるなどの事情のもとでは、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるとし、着脱等に要する時間は、常識的に必要と認められる時間であれば、労働時間に該当すると労働者の主張を認めています。
食品加工工場では、通勤服のまま作業場に立ち入ることは許されません。作業着に着替えないで作業をする労働者は、解雇や減給などの懲戒処分を受けるのではないかと思います。そうであれば、最高裁の基準からは、着替えの時間は指揮命令下に置かれていると評価できるため労働時間となり、時間給を追加する必要があります。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2023年10月27日・11月7日号