このように「年収の壁」問題を巡ってははっきりとした解決策が見えにくい。そうしたなかで、一人ひとりはどのように対応を考えればいいのか。
「厚生年金に加入したほうがいいのかという問いへの答えは、究極的には終身年金なのでどれだけ長生きできるかによって変わります。長生き家系なら厚生年金を増やして老後の生活の安定を目指すのもいい。
ひとつはっきりしているのは、政府が厚生年金に加入させる網を広げる流れが鮮明ということ。そのため、働く時間を調整するなどして当面の社会保険の適用を回避したとしても、最後は網に掛けられてしまう。そこまで見据えるなら、潔く働く時間を増やし、スキルアップしながら稼いでいくほうがいいのではないか。熟年離婚も増えているので、年金を夫婦の単位で考えず、それぞれが厚生年金を増やしていったほうがいいという考え方もできるでしょう」(北村氏)
多くの人の「働き方」が大きな岐路に立たされているのかもしれない。(了)
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