固定電話で2万円以上の損
節約の基本は、日々の収支を把握すること。だが、そのための行動がかえってムダを生んでいる可能性があると、プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんは言う。
「特に多いのは、毎日細かく家計簿をつけているのに、つけたことだけで満足してしまって、振り返りをしない人。また“3000円以上買うと駐車場代が無料”“3品頼むとドリンクが1杯無料”などのうたい文句につられて必要のないものを買って“節約したつもり”になっている人も少なくありません。カードのポイントを貯めるためだけに買い物をするのも同様。貯めたポイントでムダなものを買ったり、失効してしまったら、節約どころかマイナスです」(三原さん)
そもそも、電気代や食費といった「変動費」だけを削ろうとしても、効果は微々たるもの。それよりも、毎月必ずかかる固定費をカットする方が節約効果が高い。しかし、埼玉県の主婦・Aさん(59才女性)は「もう削れる固定費なんてない」とため息をつく。
「ローンは返し終えているので住居費はかからないし、子供たちの独立と同時に生命保険は解約しています。これ以上、切り詰められるお金なんてあるのかしら……?」
そうした人が見落としがちなのが「固定電話」だ。消費生活アドバイザーの丸山晴美さんは言う。
「固定電話は回線を持っているだけで月2000円ほどかかり、年間で2万4000円もの出費になります。スマホのLINEなどを使えば無料で通話ができるのに、電話回線を引いておくメリットはありません。昔は家に固定電話があるのが一種の“ステータス”でしたが、いまではむしろ特殊詐欺の温床となっています。
加えて注意してほしいのが、スマホアプリのサブスクです。動画配信サービスなどは『初月無料』につられて契約し、そのまま月額料金を取られ続けるケースが多い。クレジットカードや銀行口座の引き落とし履歴で、毎月何にいくら引かれているのか改めて確認してください」(丸山さん・以下同)
その際、見直す銀行口座が1つしかない場合は、その時点で「節約上手」からは遠ざかっていると言える。給与などが振り込まれる口座から毎月お金を引き出して、その余りを「残し貯め」していては、思うようにお金は貯まらない。節約の基本は「先取り貯蓄」だからだ。
「月々の手取りの10~15%は、給与などが振り込まれたらすぐに先取りして、別の口座などに入れておきましょう。銀行の自動積立定期預金や勤務先の財形貯蓄制度、iDeCo(個人型確定拠出年金)、ロボアド投資などを利用して、自動で資産運用ができる仕組みにしておくのがコツです」
※女性セブン2023年11月2日号