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【飲食店の原価】倒産相次ぐラーメン店に立ちはだかる「1000円の壁」 1杯売って手元に残るのは200円以下

「背脂」を売りにする店は大変

 この店長はラーメンが「薄利」だと嘆いたが、その原価構造はどうなっているのか。国産干し貝柱の返し醤油がウリのラーメン店オーナーはこう言う。

「飲食店で原価率の目安は25~30%といわれる。800円で店に出すメニューなら食材にかける原価は240円程度までに抑えないといけないわけですが、ラーメンは材料費がかかるために35~40%が目安になってくる。1杯の原価は280~320円程度に抑えるイメージだ。

 食材にかける材料費以外では、味の決め手となるスープを煮込むための光熱費がかかる。経費削減で麺は外注するところが多いが、麺まで店でつくるとなればさらにコスト増です。店に張り紙をして“自家製麺”と強調するのはかけた費用を取り戻すためのアピール。もちろん、1日何杯売れるかもコスパに大きく影響してくる」

 この店では1日100杯前後を販売しているというが、魚介類の他、醤油、みりん、オイル、砂糖など1杯分のスープを作るのに130円、外注の麺が150グラムで60円、ネギや煮卵、メンマ、チャーシューなどの具材がおよそ100円といった具合になるという。材料費だけで290円かかる計算だ。

「仕込み作業をする人件費も小さくない。人件費、家賃、光熱費、消耗品費などを差し引くと、800円のラーメン1杯あたり180~200円が手元に残る。『背脂』を売りにしている店ではさらに大変だと聞きます。昔は捨てる部分なので安価だったが、背脂をさばく作業をする人件費が人手不足で3倍に値上がりしているという。そうした原材料費・光熱費の値上げのほか、人件費の高騰も大きい。苦しい台所事情があるのです」(同前)

 各店が、生き残りに向けて戦略の練り直しを求められている。

(※飲食店の原価・第2回/ラーメン編・後半につづく

次のページは、【参考】2020年の「そば」「うどん」「ファミレス」「中華」チェーンなどの原価一覧
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