外食産業がコロナ禍で苦戦するなか、業績を維持してきたのが「回転寿司」だ。帝国データバンクによれば、2020年度は休業や時短営業の影響で過去10年間において初めて市場規模が縮小となったが、2021年度にはテイクアウト需要の増加によって国内市場はコロナ前の約7400億円に回復。10年前の1.6倍に拡大した。【飲食店の原価・第3回/回転寿司編。第1回・ラーメン編から読む】
2022年2月時点の「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」「かっぱ寿司」「元気寿司」の大手5チェーンの合計店舗数も2169店となり、コロナ前から約150店増、10年前から約800店も増えている。業界紙記者が言う。
「回転寿司はハンバーガーとともに“巣ごもり需要”に伴うテイクアウトが好調で、コロナ禍でも売り上げを維持。これまで大手5チェーンは郊外のロードサイドを中心に店舗を拡大してきたが、コロナをきっかけに都市部へ進出することでテイクアウト需要をうまく掴むことができた」
サーモンの値上がりは大打撃
ただ、売り上げが好調の一方、「回転寿司チェーンは利益の減少に頭を悩ませている現状もある」と指摘するのは、回転寿司評論家の米川伸二氏だ。
「飲食業全体の平均で食材費の占める原価率は15~30%とされるが、回転寿司は40~50%と飲食店のなかでも高いことで知られている。とりわけ原価率が高いのがウニ、いくら、マグロなどの人気商品ですが、それらにはコストをかけ、赤字覚悟で均一料金にして客の満足度をアップさせるのが大手チェーン店共通の戦略となってきた。
もちろんウニやマグロばかり出ると店の利益が薄くなるわけですが、ファミリー客の利用が圧倒的に多いため、子供が好きなタマゴやエビ、ツナマヨコーンといった原価の安いネタも多く注文される。それによって採算が取れるようになるという絶妙なバランスが成立していた。