快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

【日本でもお披露目】ソニー×ホンダの次世代EV「アフィーラ」が備える先進性 「クルマの外側とコミュニケーションできる」

ソニー・ホンダ「アフィーラプロトタイプ」。ドアハンドルさえないシンプルなボディは、空力特性に優れた4ドアクーペのような造形

ソニー・ホンダ「アフィーラプロトタイプ」。ドアハンドルさえないシンプルなボディは、空力特性に優れた4ドアクーペのような造形

 2022年9月、ソニーグループと本田技研工業の折半出資によって新たな自動車メーカーとして設立されたのが「ソニー・ホンダモビリティ」。今年1月、同社が開発する新ブランドの電動自動車「AFEELA(アフィーラ)プロトタイプ」をアメリカのネバダ州ラスベガスで開催された家電エレクトロニクスショー「CES 2023」で発表し、大きな話題となった。2025年内の発売に向け、現在も開発が進んでいる。同車は、10月26日~11月5日の会期で開催される「ジャパンモビリティショー2023(JMS)」で、日本で初めて一般展示される。新会社が仕上げた新型EVはどんな可能性を秘めているのか?

 シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。自動車ライターの佐藤篤司氏が、アフィーラプロトタイプの実像をレポートする。

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 もはや自動車産業は、電気産業を始め、あらゆる産業の複合体として成立していることは誰もが理解しています。ソニーのようなIT企業と自動車メーカーのホンダが組んでも、トヨタがパナソニックや出光興産と組んでも、まったく不思議ではなく、むしろその異業種の組み合わせによって、どんな科学反応が起きるのかを期待する段階。そんな状況下でソニー・ホンダモビリティの次世代BEV「アフィーラ」のプロトタイプ(以下、アフィーラ)がいよいよ国内初公開となるわけですから、当然ながら注目度は上がっています。

 まず、このブランド名に込められた思いは、「AFEELA」というブランド名の中に「FEEL(感じる)」という単語を含むことに現れています。メーカーによれば「人がモビリティを“知性を持つ存在”として『感じる』こと、またモビリティがセンシングとネットワークに代表されるIT技術を用いて、人と社会を『感じる』こと」という意味が込められたブランド名だということのようです。人とクルマが対話によって相互理解する、インタラクティブな関係性を表現しているブランド名です。さっと読んでしまうと、なんとなく理解できたような、一方で少々具体性に欠け、漠然としていて今ひとつ理解が及ばないような……。では「アフィーラ」とはどんな先進性を備えたクルマなのでしょうか?

 まずは全体のフォルムですが、なだらかで伸び伸びとしたラインで構成されたセダンタイプ。エクステリアは、空力特性に優れた4ドアクーペ的造形です。「多くの要素でユーザーがアフィーラに愛着を持てるように」という開発目標があるようですが、その点においてこのエクステリアはどうでしょうか。

 ファーストインプレッションは悪くありません。ツルンとしたボディのサイズは全長4895mm、全幅1900mm、全高1465mmというから、アコードやトヨタのカムリに近いサイズ感です。ボディ表面などの凸凹や隙間はなくなり、サイドミラーに代えてカメラが装着されるなど、徹底したフラッシュサーフェス(※突起や段差のないデザイン)化によって、なだらかな面構成で仕上げられていて、時代性を感じます。

 一方で、どこか大人しすぎると感じてしまいました。このデザインが2年後に登場し、その時点から4年から7年ぐらいを大きく変わることがないと考えると、もう少し派手でもいいのでは、などと考えてしまいます。なにより、20世紀にはデザイン面でも世界をリードしていたソニーやホンダの、あの「つねに斬新さを感じるワクワクするようなデザイン性」を、この「悪くはないけど少々しとやかなエクステリア」から強烈に伝わってこないのは、こちらの感性が鈍いからでしょうか。

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