【2】小売業:物価上昇による「消費センチメント」の弱まり
小売業でも、好決算、好業績にもかかわらず株価が不調な銘柄が多く見られる。
ファーストリテイリング、ABCマート、オンワード、青山商事など、これらの銘柄はかなりの好決算を出しているにもかかわらず株価が上昇していない銘柄の代表格と言える。特にファーストリテイリングは凄まじい成長を見せつけ、決算翌日は大きく株価上昇したものの、それ以後は小休止状態を見せている。
これらの銘柄の株価が冴えない理由としては、日本において物価上昇に対して賃金上昇が追いついておらず、「消費センチメント」が弱い状況が続いていることが挙げられるだろう。特に、スーツ、靴などは、給料が上がっていないならば新調するのを我慢するという人も少なくないのではないか。
今年の上半期にはコロナ禍の反動による“リベンジ消費”が起こり、それによって業績が伸長し、それが株価にも反映されて上昇してきた。それが昨今、ひと通り株価に織り込まれてきて上昇に歯止めがかかっている状況だ。
また、製品を羊毛などの輸入品に頼っている企業も多く、為替にも業績が左右されやすい。ここでも、為替の円安ドル高が利益を圧迫することになる。逆に円高ドル安に転換する場合には利益を増やす要因になる。
今年は暖冬が予想されており、アパレルなどの小売業は買い控えの逆風も強まる可能性もある。これらを跳ね除けて今後の株価上昇につなげるには、やはり賃上げが進むことで消費センチメントが再び強まってくるのを待たなければならないだろう。