好業績にもかかわらず、それが株価上昇につながらない業種が目立っている。中でも、空運、小売、陸運の3業種はその傾向が顕著だが、その理由はどのようなものか。あるいは、一転して上昇するタイミングがあるとすれば、それはどのような条件なのか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が、これら3つの業種をピックアップし、足元の状況や今後の見通しについて解説する。
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円安ドル高が進行し、コロナ禍で落ち込んだインバウンド需要が回復するなど、日本経済にとってはポジティブに見える状況にもかかわらず、株価は冴えない日々が続いている。
しかし、この逆風の影響を大きく受けている業種と、その業種ごとのマイナス要因を分析することで、経済のファンダメンタルズが変わった際に株価上昇の初動を捉える絶好のチャンスにつながる。
ここでは、いま逆風が吹いている3業種について、“株価の重石”となっている要因を分析したうえで、反転する際の条件も探ってみよう。
【1】空運業:原油価格高騰で利益が圧迫される
原油価格が再び高騰している。これはイスラエル情勢の悪化が最も大きな要因と考えられる。原油価格高騰の影響が直撃するのは、飛行機などの空運業だ。飛行機銘柄の最大のコストは原油、ガソリンとなるからだ。これが高騰してしまっては空運業の利益は圧迫されることは容易に想像がつく。
JAL、ANAを筆頭とした飛行機銘柄の株価はどれもこの3か月、右肩下がりとなっている。また、日本は原油を完全に輸入に頼っているため、円安ドル高も大きな利益の重石になる。
この状況から転換するには、どんな条件が考えられるか。まずは、アメリカと中東諸国の和平案が進むことが最も分かりやすい。国と国の緊張状態が和らぐことが空運業の株価にとっては、確実にプラス材料となるだろう。また、為替が円高ドル安に転換するようなら、それも株価の追い風になることだろう。このようなニュースが出た時は大きな仕込み時になる可能性がある。