2022年の流行語大賞に「インボイス制度」がノミネートされてからはや1年。よくわからない!という声が多い中、10月1日から始まったこの制度、正式名称は「適格請求書等保存方式」といい、消費税を正しく納めるための制度だと政府はうたうが、その実、金銭面でも事務手続きの面でも個人事業主やフリーランスの負担ばかりが増えている気がする。どうすればいいのか? このモヤモヤを解決すべく、現時点では免税事業者のフリーランスのK記者が、税理士の小島孝子さんに質問した。【全5回の第3回。第1回から読む】
登録する場合、手続きは何をすればいいの?
K記者:インボイスの登録をするなら具体的には、何から始めればいいですか?
小島さん:インボイス発行事業者になるために、最初にすべきことは、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を税務署に提出することです。申請方法は、主に郵送と電子の2種類があります。
K記者:へ~。ということは、パソコンやスマホからでもできるんですね。実は、先日トライしてみたんですが、パソコンの環境設定でつまずいてしまい、途中棄権しちゃったんです(汗)。
小島さん:Macのパソコンを使っている人の中には、少し苦労する場合があるようですね。e-taxによる電子申請は、インボイス番号を早く受け取れるメリットがありますが、パソコンの環境設定や「利用者識別番号」の取得、マイナンバーカードなど電子証明書の用意など、さまざまな事前準備が必要です。マイナンバーカードはスマホで読み取れるので、やってみると非常に便利です。Windowsを使っている私の顧客で、サクサクできたという人も多いので、各々やりやすい方法をまずは試してみてください。ただパソコンやスマホの操作が苦手な人や電子証明書がない場合は、紙で申請した方が早いかもしれません。
K記者:なるほど。郵送で申請する場合はどうすればいいですか?
小島さん:申請に必要な「適格請求書発行事業者の登録申請書」を、税務署の窓口でもらうか国税庁のWEBサイトからダウンロードするなどして入手し、所定の記入例を参照して作成します。2029年9月30日(個人事業主は12月31日)までに登録すれば、自動的に消費税課税事業者になるので手間がかかりません。ただ、郵送の場合は、登録通知がくるまで約1か月半を要する点や、郵送された登録通知書を紛失すると再発行できない点には、注意してくださいね。