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【通称「撮り鉄の穴」】跨線橋の転落防止の金網、補修しても破損の繰り返し 一体、誰が開けたのか?管理するJR東日本の見解

跨線橋の金網の穴は誰が開けたのか

跨線橋の金網の穴は誰が開けたのか

 鉄道写真を撮影する「撮り鉄」を巡るトラブルが相次いで明らかになり、注目を集めている。線路に立ち入ったり、ホームから身を乗り出したり、たまたま通りかかった人に罵声を浴びせたり……もちろん、迷惑行為をするのは一部の撮り鉄なのだが、なかには器物破損が疑われるような事案もある。問題の現場からレポートする。

 JR日暮里駅と鶯谷駅の中間にある「御隠殿坂(ごいんでんざか)跨線橋」がその現場だ。山手線、東北本線、常磐線、高崎線、上越新幹線、宇都宮線、京浜東北など、都合10本の線路を跨ぐ歩行者専用の橋だ。幅は2メートルほどで、両側には腰の高さくらいまでのコンクリートが設置され、その上に転落防止のための高い金網が張られている。

 眼下を多くの列車達が行き交う、知る人ぞ知る撮り鉄スポットである。ただ、ネット上にアップされたこの場所で撮影されたであろう写真の多くには、転落防止の金網が写っていない。その理由は現場に行ってみるとよくわかる。ちょうど目線の高さの金網が、至る所で破られているのだ。

 破られた穴を目の細かい金網で補修している箇所もある。さらに補修した部分を再び破ったであろう跡まであった。破っては直すということが繰り返されていることがうかがえる。

「ちゃんと固定しているから大丈夫」

 この日も撮り鉄と思しき数人が、金網の破れ目にカメラのレンズを入れて撮影していた。ひとりに声をかけてみると、

「かなり前からこの状態ですね。たぶん、誰かがペンチか何かで切断したんだと思いますよ。今日は上越新幹線を目当てに来ました。ここは金網に穴が開いてるから便利なんですよ。鉄道仲間には“撮り鉄の穴”なんて言う人もいます」

 別の撮影者は“撮り鉄の穴”からGoProを乗せた小さな三脚を差し入れ、金網の下のコンクリートに設置していた。もし落ちたら列車の走行を妨害することにもなりかねない。指摘すると「ちゃんと固定しているから大丈夫ですよ」と応じるのみ。

 いわゆる「撮り鉄スポット」では、様々なトラブルも報じられている。今年6月には、栃木県矢板市内のJR東日本東北線の線路脇の敷地内で3人の男性がカメラを構えていたことにより、寝台車両「カシオペア」が緊急停止。安全確認などのために運行が約14分遅れた。一昨年は神奈川県藤沢市の江ノ島電鉄線で、深夜の試運転列車の撮影のために集まった人たちが、自転車に乗って通りがかった男性に罵声を浴びせる動画がネット上で拡散され、炎上する騒ぎもあった。一部の撮り鉄の“暴走”が良質な鉄道ファン全体のイメージを悪化させかねないとして、懸念する声もある。

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