男性が訪れた寺院の場合、利用料のほかに年間1万円の管理料30年分や、目印となる国産黒御影石の石板費10万円とオプションの名入れに5万円、石板の台座8万円や納骨のお布施費用5万円など各種法要費、妻が墓に入る際の利用料などがどんどん積み重なったという。墓じまいをサポートする援人社代表で改葬コンサルタントの竹田繁紀氏が言う。
「樹木葬は“墓石がない墓“と考えるのがわかりやすい。一般的なお墓の平均費用は約210万円で、そのうち墓石代が130万~140万円程度で墓の利用料が70万円ほど。樹木葬は石代がかからないので安く抑えられるのですが、家族で入ると一人ひとりに費用がかかるので一般の墓よりも割高になることがあります。また、後継ぎがいない、檀家が離れていくなど、これから淘汰される危機に瀕している寺院にとって墓は死活問題。“樹木葬で利益を得よう”という寺院もあります」
檀家から樹木葬の利用者にクレーム
寺院とのトラブルではこんなケースもある。宗教宗派が不問で檀家に入らなくていいケースが多いのが樹木葬のメリットの一つだ。しかし、夫を樹木葬で埋葬した大阪府の70代女性は檀家との関係に悩んでいるのだという。
「宗教宗派不問とのことで近くの寺院に決めましたが、檀家から樹木葬の利用者にクレームが入っているとの噂が耳に入りました。どうやら、お参りの際に使う柄杓や桶などの道具を揃える費用は檀家料や護持会費で賄っているため、それらを払っていない私たちに対して不満を募らせる檀家も多いそうで、お参りのたびに檀家の冷たい視線を感じて肩身が狭いです」