都市型のように遺骨を移動できない
山中の敷地での樹木葬を運営している北関東の寺の住職は、自身が見てきたトラブルについてこう話す。
「里山型の樹木葬では他人の遺骨と合葬されるタイプもあるのですが、埋葬する際に他人の遺骨の上にサラサラと流し込む様子を見て“親の遺骨を雑に扱われた”と憤慨する人もいます。また、一度埋葬した遺骨は二度とお返しできないのに、『家の近くに墓を建てるから遺骨を引き取りたい』と掘り返しに来る人もいました。もちろん、法に触れる可能性があるのでお断わりしました」
大橋石材店代表でお墓コンサルタントの大橋理宏氏は、里山型樹木葬に今後予想されるトラブルをこう指摘する。
「里山型の樹木葬は都市型と違い、遺骨を地中に埋めてしまうため、都市型のように遺骨を移動できない。それゆえ、埋葬する区画を一定期間借りるのではなく永代で使用することになる。そうすると、敷地の墓所を売り切った後に収入が途絶え、管理に手が回らず山が荒れ放題になる恐れがあります」
※週刊ポスト2023年11月10日号
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