米国市場は株価の下落が目立っている。そうした中で、決算期を迎える日本市場では、投資の機会をどのように窺えばよいか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が、足元の経済情勢を分析しつつ、日本株で注目すべきセクターについて解説する。
下落相場の中に見える反転上昇の兆し
アメリカ経済は非常に強い状況が続いている。各種指標の全てにおいて景気鈍化は見られず、金利が高い状況においても好調な個人消費に支えられた景気の強さが顕著だ。インフレ退治に躍起になっているアメリカの状況を踏まえると、経済や景気におけるgood newsが、相場、株価にとってのbad newsになるという“good news is bad news”の状況にあると言える。そのことを示すように、強い経済指標が出ると金利が高止まりし、マーケットの上値を重くしている。
その状況を受けて日本マーケットも弱含みの展開が続いているが、今までの下落相場と明らかに様相が異なっている点がある。ここからの相場は、年末にかけて反転上昇していく条件が揃ってきていると考えられるのだ。
今回は相場が上昇転換すると考える理由と、今後の注目セクターを考察していく。
FRBの金利戦略に大きな変化
冒頭に述べたとおり、経済にとっての「good news」(景気の良い指標)が止まらない。インフレ抑制に追われるFRB(連邦準備制度理事会)としては、これは当然望ましくないはずであり、数か月前であればさらなる利上げを呼び込む材料とされていた。
しかし、10月19日にFRBパウエル議長は「これ以上何かする必要はない」「利回りの上昇は利上げの必要性低下を意味する」「今後は見守るしかない」といったハト派と受け取れる発言をした。それ以降、FRBなどの要人による厳しいタカ派発言が見当たらなくなっている。そして、利下げ観測を予想する声まで出てくる状況となった。