もちろん利下げ観測自体は現時点では少数であり、実際にすぐに利下げが起こる可能性はほとんどないと言える。だが、1か月前までは利上げ観測が途絶えない状況であったことを踏まえれば、これは大きな変化だ。つまり、「アメリカは利上げ終了」を見通せる状況に来ていると言える。
これは株式相場にとって上昇要因である。アメリカの指数が弱くても日本マーケットは影響を受けにくい状況になるということだ。いま、アメリカの指数は軟調である。その原因はGAFAMといったビッグテック銘柄、そしてテスラやエヌビディアといったコロナ後に一気に台頭したアグレッシブグロース銘柄の株価が崩れたからである。
今これらのビッグテック銘柄にはドル高の逆風が吹いており、投資家の目も厳しくなっているため、株価が下落しやすい状況と言える。アメリカの指数はこのようなアグレッシブグロース銘柄と呼ばれる10銘柄前後の銘柄が大半を占めており、これらの銘柄の株価が下がれば指数全体の下落につながるわけだ。そう考えると、目先のアメリカ指数が仮に下落していたとしても市場全体としては悲観する必要はなくなった、と捉えることもできるのではないか。
日本マーケットの投資戦略と注目セクター
日本はこれから決算シーズンが本格的にスタートする。企業業績が好転、向上して株価が上昇する際に形成される「業績相場」が訪れる可能性が高いと考えられる。では、どのようなセクターに注目していけばよいか。
外需比率の高い精密機器、半導体などのハイテクセクター、そして、インフレの長期化を想定した食料品セクター、資源セクターに注目すべきと考える。
【ハイテクセクター】
ハイテクセクターは金利上昇局面において株価の上値を抑えられてきていた可能性が高い。その状況の中でも業績好調をアピールした決算を出した企業があれば強気に攻めていけるだろう。
アメリカ経済の強さ、そして利下げへの期待が株価上昇要因としてさらなる後押しをしていくことが考えられる。今回の決算でコンセンサスを大きく上回る業績とガイダンスを出した企業は注目に値するだろう。
【食料品、資源セクター】
食料品セクター、資源セクターについてはインフレを追い風にできるセクターであり、インフレの長期化を想定した戦略となる。
食料品セクターにおいては、インフレに対応するための値上げなどで価格転嫁につなげやすい大手、特に、定番の人気商品を持っている企業が有利に働くと考える。実際、10月25日に決算発表を出した山崎製パン(2212)は決算発表翌日から大きく株価を上昇させている。