次に出てくるのは「年収70万円の壁」
「第3号が生まれたのも、1986(昭和61)年の年金制度改正のときでした。年金受給額を昔の人より3割カットするという議論があがり、同時にサラリーマンの厚生年金保険料率は10.6%から12.4%へと約2割も引き上げられた。その代わりとして、当時多かった専業主婦からは保険料を徴収しないと打ち出した。つまりこれまで、第3号の年金保険料は夫が代わりに払っていたということ。第3号を廃止するならば、夫の年金保険料を引き下げなければおかしな話です。
そもそも少子高齢化が進むなか、現役世代が高齢者の年金を支える“世代間扶養”の制度を維持できると考える方がおかしいんです。昔は十数人で1人の高齢者を支えていたのに、将来的には1.5人で1人を支えることになる。それも自分の親ではなく、他人の面倒を見なければならないのですから、わけがわかりません。根本的に年金の仕組みを変えなければ、どうにもならないと思います」
しかし、根本策を打ち出すのではなく、聞こえのいい言葉でごまかそうとしているのが、岸田政権の実態だ。
「いまのところ第3号をなくす具体案は出ていませんが、月収5万8000円以上は厚生年金に適用させようという案もある。ですから、次に出てくるのは『70万円の壁』。月5万8000円以上稼ぐと第3号の対象ではなくなってしまう。扶養を外れれば、厚生年金保険料を納めるばかりか、健康保険料も支払わなければならないので、収入に比して負担だけが非常に大きくなります」
増税クソメガネ、減税ウソメガネなど、悪名高いあだ名をつけられる岸田首相。そのメガネの奥の瞳に国民の姿は映っているのか。絶対に目を離すわけにはいかない。
※女性セブン2023年11月16日号