喫煙可能エリアの縮小やタバコの価格高騰、新幹線内の喫煙ルームの廃止など、愛煙家には肩身が狭い昨今。分煙化が進み、街中でタバコの臭いを嗅ぐ機会は減ったように思われる。そんななか、嫌煙家から「タバコを控えてほしい」というクレームが向けられやすい職業もあるようだ。それが顧客の肌に直接触れる、美容関係者だ。
マツエク中に女性客から苦情
都内のマツエク店で働くアイリスト(まつ毛エクステを施術する職種)の女性・Aさん(20代)は、平均で1日10本ほどタバコを吸う喫煙者。彼女は過去に、マツエクやマツゲパーマの施術中、女性客から苦情を受けたことがある。
「まつ毛エクステはお客様の目元に触れる職業です。私も仕事柄、タバコの匂いが消えるようにしっかりと手を洗ってから施術しているのですが、過去に2回ほど『手がタバコ臭いから別のスタッフに変えて欲しい』というクレームが入ったことがあります。そのうちの一回は、かなり強い口調で『タバコ吸う人が美容業界で働くのってどうなの?』と言われたんです。
もちろん、お客様に不快な思いをさせてしまった私が悪いのですが、タバコを吸う人間の居場所がなくなるようで寂しい思いをしたのも事実です。仕事のストレスを解消するためにタバコを吸っているのに、それも我慢しなくてはいけないのでしょうか」(Aさん)
Aさんのように、愛煙家のなかには臭いに気を遣いながら仕事に励む人もいる。吸っている側は「努力」をしているつもりでも、顔、とくに鼻の付近を直接、触られる客のなかには不快な思いをする人がいることも否定できない。