ビジネスマンの信用度がジャッジされる?
IT企業勤務の30代男性・Bさんは、両親と食事した際、会計時に合皮の財布を出したところ、父親に意外な言葉をかけられた。
「父に『もう30を過ぎたんだし、そんな安っぽい財布を使っていたら社会人として恥ずかしいから、俺が買ってやる』と言われました。どうやら、お金に苦労していると思われたようです。全然生活には困っていないのですが……」
Bさんはこの一件を兄に報告したところ、父親と同じ意見だったうえに、痛いところをチクリと刺された。
「兄曰く、靴、鞄、財布は本物を持った方がいい。合皮が許されるのは20代半ばまで。ハイブランドでなくても本革を買った方がいいというのです。そういうところでビジネスマンとしての信用度のようなものもジャッジされる、みたいな話でした。
僕としては、財布なんてお札やカードが入ればいいという価値観。財布に何万円も使いたくないのが本音です。兄には、『そんなところで人を値踏みするようなヤツとはそもそも付き合いたくない』とまで言ってしまいました」(Bさん)
本物か偽物かではなく“別物”として考える
不動会社勤務の40代女性・Cさんは、本革製品を選ぶ人は「人の目を気にしがち」だと分析している。
「私も以前はちょっとした見栄から本革を購入していました。人から“合皮を選ぶ人=お金がない人、ファッションに無頓着な人”だと思われたくなかったんです。結局、自分も含めて、そういう見栄を張る価値観が横行した結果、合皮に対して『恥ずかしさ』があるんだと思います。
もちろん、本革は革ならではの風合いを楽しめるし、長く使えば使うほど味が出る。一方で、価格が手頃、扱いやすいなど、合皮の良さもありますよね。最近は、本物と偽物という視点は意味がないなと思うようになりました」(Cさん)
ファッション感覚は人それぞれ。“本革主義”の人たちの価値観を押しつけられて辟易としている人も少なくない様子だ。(了)