動物の皮が原料に使われていない合皮(合成皮革)。本革製品よりも価格が安い反面、質感の見劣りや素材が劣化しやすいことが指摘されることもある。なかには“本物の革”にこだわり、合皮製品を「恥ずかしい」と考える人もいるようだ。反面、特に本革に強い執着がなく、合皮にメリットを見出す人たちからは、“本革主義”が横行する風潮への嘆きも聞こえてくる。
「合皮のバッグなんて恥ずかしいよ」
メーカー勤務の20代女性・Aさんは、合皮か本革かはあまり意識していなかったが、ある時、友人から「合皮のジャケットとか、もう恥ずかしくて着られなくない?」と言われて驚いたという。
「合皮だから『恥ずかしい』という視点がなかったのでびっくりしました。自分が好きなデザインで、使い勝手が良く、手が出せる値段であればどちらでも気にせず買います。いまどきはハイブランドだって、動物愛護の観点から本革ではなく合皮を使うところが増えているのに、本革主義なんてよくわかりません」
合皮のバッグを持っていると、職場の先輩女性からも「合皮のバッグなんて恥ずかしいよ」と指摘されたというAさん。
「だって本革は高くて重いし、雨の時なんかは濡れたらシワにもなるっていいますよね。その点、合皮は汚れも傷もあまり気にしなくていいし、雨にも強い。価格もお手頃で、気軽に買い替えられます。しかも最近は、合皮といっても加工技術が素晴らしいものもあるのに……」(Aさん)