岸田政権が打ち出した「1人4万円」の減税が総スカンを食っている。当然だろう。たったそれだけの“還元”では、増税を含む大負担増に対して、何の助けにもならない。だからこそ、自ら動いて「本来得られるはずのお金」を回収しなくてはならない。その方法は、意外なほどに簡単なものだった。
すぐ書ける書類を出すだけ
税金や医療・介護費というと「支払うお金」のイメージが強いが、公的制度を活用すれば「取り戻せるお金」が実はたくさんある。制度が変わるなかで、意外なほど簡単な申請で済むものもある。たとえば、大きな医療費がかかった時に欠かせない高額療養費制度。
大病を患って入院や手術でひと月に100万円の医療費がかかると、3割負担の人なら窓口で支払う医療費は30万円になる。それがこの制度を利用すると、一般的な収入の人なら約9万円が自己負担の限度額となる。申請すれば超過分の約21万円が払い戻されるのだ。
これまで、制度の利用には「高額療養費支給申請書」を毎月提出する必要があり、使い勝手がいいとは言えなかった。しかし、自治体によっては手続きの簡素化が進められ、1回申請書を提出すれば、その後は自動的に超過分の払い戻しが振り込まれるようになってきているのだ。東京都中野区保険医療課の担当者が言う。
「昨年11月より(簡素化の)同意書と高額療養費支給申請書を提出すれば、高額療養費が発生した場合に自動的に払い戻しされるようになりました」
同意書は氏名や住所、振込先などを記入すればいいだけで、5分もあれば書けるような書類だ。
入院が数か月に及ぶ場合など、長期にわたり医療費が高額になった場合、毎月の申請に漏れが生じることが少なくなかったというが、簡素化でそうした心配もなくなる。
ただし、高額療養費制度では、かかった医療費をいったん全額支払う必要があり、お金が還付されるまでに3~4か月待たなければならない。
そのデメリットを解消できるのが、限度額適用認定証だ。入院前などにあらかじめ申請書を提出すると、窓口での支払いが自分の所得などに応じた限度額までで済む。