岸田政権が「1人4万円」減税を打ち出したが、増税を含む大負担増に対しては何の助けにもならなさそうだ。だからこそ、自ら動いて「本来得られるはずのお金」を回収することも必要になる。
国や健康保険、雇用保険などと別に、自治体が独自に給付金・補助金などを用意するケースが増えている。各自治体で用意されている補助金の存在は多くの人が見逃しているが、申請するだけでお金が返ってくるとなれば、活用しない手はない。【前後編の後編。前編を読む】
知らない人が7割以上
自分が住んでいる自治体が独自に用意した給付金・補助金を見逃さないためには、どうすればいいのか。消費生活アドバイザーの丸山晴美氏は、こうアドバイスする。
「まずは自治体から発行される広報誌をチェックすることです。また、自治体のホームページにもお知らせが出るので、トップページだけでも定期的にチェックしておきましょう。加えて、スマホのアプリなどで自分の居住地や年齢などのプロフィールを入力すると、受け取れる可能性のある給付金を自動的に抽出してくれるサービスも登場しています。
家計簿アプリ『Zaim』のなかの『わたしの給付金』というサービスなどがそれにあたります。そういったものに登録してみるのもひとつの手でしょう」
「わたしの給付金」は、2015年1月に家計簿アプリ「Zaim」の利用者向けに始まったサービスで、居住地や世帯構成を登録するとその地域で支給されている給付金制度の一覧が確認できる。有料会員になると、一覧のなかから世帯構成などのプロフィール、家計情報をもとに受け取れる可能性のある給付金が自動抽出されるという。
アプリを運営する「くふうAIスタジオ」の広報担当者はこう説明する。
「『わたしの給付金』の提供を開始したのは、開発者自身が住んでいた自治体で『ペットの去勢手術』への給付金があることに驚いたというのがきっかけです。各自治体のホームページは様式がバラバラで、どんな給付金制度があるのか見つけにくいと感じ、着想を得たサービスです。
導入直後のアンケートでは、7割以上の方が、『自分の住んでいる自治体でどのような給付金があるか〈まったく知らない/あまり知らない〉』と回答しました。本来、受け取れるはずの給付金の存在すら知らないという機会損失を防ぐ目的で、サービスを提供しています」
企業・大学・行政が連携して構成する「オープンガバメント推進協議会」といった組織と連携し、公式情報を自動取得しているものもあるという。そうして広く“自治体からもらえるお金”の情報を網羅している。