それでは条例で制約を課することができるかですが、自治体は法律の範囲で条例を制定できます。
具体的には、法律により条例で定めることになっている事柄や、自治体の事務に必要で憲法や法律に違反しない内容です。一般市民の服装に関しては、自治体の仕事の中に法律で授権されている事項はありませんし、その規制は自治体として行なう事務でもありません。社会の風紀の維持は必要ですが、国全体で考えるべきこと。
明治初期には、裸体を見せることは文明開化に逆行するとして禁止され、現在の軽犯罪法の規定に至ったものと思いますが、この規定以上に自宅での服装にまで国や自治体が口出しするのは、私生活への不当な介入になります。
なにより今年の夏は特別でした。大目に見てあげてください。
ただ、私たちも令和の礼儀として上半身裸は控えるべきでしょう。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2023年12月1日号