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中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

居酒屋に女性店員目当てで訪れ延々と喋り続ける“困った男性客”の実態 「他のお客さんに申し訳ない…」と女将もため息

行きつけの居酒屋でビールを飲む筆者

行きつけの居酒屋でビールを飲む筆者

ベロンベロンでやって来て子分衆に「好きなだけ頼め!」

 そして、もう一軒はバーなのですが、毎回3次会あたりで来る常連の男性客・Sさんにママも困っているようです。Sさんはお金持ちで色々な新規客を連れてきてくれるのですが、とにかく飲酒量がすさまじい。2軒ぐらいまわった後でやってくると、もうウイスキーのボトルを1本開けているような状況でベロンベロン。

 しかも、Sさんは「子分」的な人を引き連れてくるため気が大きくなっていて、「ここもワシがバーンと出す! 好きなだけ頼め!」などと、もう腹いっぱいの子分達に対して大声で言い、さらには「ここのママはワシのマブダチだ。今後、ワシのツケで飲み食いしてもいいぞ」などと言い出したりする。声もとにかく大きいため、他の客が不快になって帰ってしまうのを見たこともあります。

 こうなると、前出・Nさんの時と同様に、店員にとっては他の客への対応がおろそかになってしまうわけです。当然ママとしてもSさんに感謝する面はあるものの、さすがにこれはいただけない。結局、別の常連客に対して毎度謝罪をすることになるそうです。

 こうした話を聞くにつけ、「店の女性と喋る」という行為がしたいのであれば、キチンとそれがサービスとして存在するガールズバーやキャバクラに行くべきでは、と思うんですよ。あくまでも居酒屋やバーは飲食をする場所。いわゆる「接待を伴う飲食」をする場所ではありません。

 前出の居酒屋女将とバーのママは、どちらも「本当は男性の従業員を入れて私が裏に引っ込んでいるような状態にした方がいいのでしょうが、人を雇う余裕もないですし、売上が厳しい時はちょっと迷惑なお客さんも助かる存在なので、いかんともし難いです……」とため息を付きます。

 ちなみに女性客はこのような行動を取ることはないようで、こうなったら「会話代(サービス料)」みたいな項目をつけるしかないのかな、とも思ってしまいます。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など多数。最新刊は『日本をダサくした「空気」』(徳間書店)。

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