企業概要
テクノメディカ(6678)は、臨床検査分野を中心に手掛ける医療機器メーカー。臨床検査用分析装置をはじめ、医療機器の研究開発から製造・販売、保守サービスまでを提供しています。
主力製品は「採血管準備装置」で、同社は国内90%以上のシェアを獲得しています。ほぼ独占状態で、大型機については大規模病院ならどこでも導入している状態だと言います。
自動採血管準備装置は、検査項目に適応した採血管を自動的に選択し、属性・採血管情報をバーコードラベルに印字して、採血管に貼り付け、患者毎に一つのトレイに収納する装置です。
複雑で細かく工程の多い採血準備を自動化することで医療従事者の負担軽減や間違いを防ぎ、その結果、患者も待ち時間が短くなるメリットがあることから、多くの医療機関で採用されています。具体的には、採血管の選び間違い防止(もし採血管が正しいものでなければ再採血をしなければなりません)、手貼り作業という負担軽減(患者ごとのラベル仕分け、採血管情報の確認と選択、手貼りの作業がなくなる)、分析装置による読み取りエラーが無くなる、などがメリットとして挙げられます。
こうしたメリットから、大規模病院ではほぼ全てが導入済みと報告されています。では小中規模の病院はどうかというと、設置スペースの問題や電子カルテなどとのシステム連携などに多額の資金がかかることから、導入が進んできませんでした。この点については新しい市場機会であり、同社では中型機器、さらに卓上タイプとラインナップを拡充。大型機についても自動化機能をアップデートするなど製品力が強化されています。
同社はこの自動採血管準備装置のリーディングカンパニーであり、なんと国内90%以上という圧倒的トップシェアを獲得しています。
自動採血管準備装置は同社が1989年に販売を開始したことで市場が誕生しました。採血に無くてはならない機器として医療機関での存在意義を確率、一気に導入が進んだということになります。ゼロから1を創り出した先行者メリットは大きく、それが現在にも引き継がれているというわけです。2023年3月末現在の採血管準備装置・システムの国内納入施設数(累計)は、2276施設となっています。
また国内だけでなく、アジア・ヨーロッパを中心、世界44か国へ販売しており、現在売上の1割程度を稼ぐようになっています(2023年3月期12%)。
この自動採血管準備装置は同社の主力であり、売上の38%を構成します。
注目ポイント
ポイントは、自動採血管準備装置は販売後も消耗品や保守サービスの売上が立つことです。
病院が自動採血管準備装置を導入したあとは、採血管準備装置で使用するラベルやハルンカップ、検体検査装置の測定・校正時に必要な試薬やセンサーカードといった消耗品が必要となり、そのたびに売上があがることになります。ですので、装置導入数が増えれば、その分その後の消耗品売上が増えていくということになります。
実際、同社の顧客層はその8割が既存顧客です。
そういうわけで、導入施設数が2000を超えた今、消耗品・保守サービスによる売上は全体の56%を構成するまでになっています。消耗品等(含む保守料)の売上高は10年間平均3.9%で増加してきました。
消耗品ビジネスは一定の需要が存在するストック型の収益源であり、同社の安定収益源として機能しています。
また、採血管準備装置のほか、検体を測定・数値化することで診断の目安とするための検体検査装置も展開しており、血液ガス分析装置では唯一の国産メーカーとして知られます。売上構成比は6%と業績貢献度は小さいです。
まとめると、品目別の売上構成比は採血管準備装置・システム38%、消耗品等56%、検体検査装置6%となります(2023年3月期)。
【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。