【2】年末の損失確定売りに備える
これは毎年恒例の話題なのですが、年末には意図的に損失を確定させる投資家が増えます。これは、今年の確定利益と相殺させることで、累計の利益額を少なくしたり、来年以降に損失を繰り越して、将来の利益と合算し、譲渡益に対する税金を軽減するための戦略です。
特に2023年は、株式市場が概ね上昇トレンドで推移していたため、多くの投資家が利益を出していると考えられます。そのため、今年は従来よりも損失確定売りのリスクが高まっているかもしれません。
【3】円高トレンドへの転換を警戒
現在の株価上昇の主な要因は、米国のインフレ鈍化とFRB(連邦準備制度理事会)による利上げ懸念の後退です。その結果、米国の長期金利が低下しており、株価の下落圧力が減少。これが米国株式市場の上昇につながり、日本の株式市場にも好影響を与えている構図です。
しかし、同時に日本と米国の金利差が縮小しており、ドル円レートが足元で円高方向に修正され始めています。
これにより、円安トレンドを背景に上昇していた自動車大手などの輸出企業の株価が徐々に重たくなってきています。
11月20日には1ドル=148円台をつける場面があり、ドル円の日足チャートにはダブルトップと呼ばれる天井チャートパターンが形成されています。今後、円高方向へとトレンドが転換する場合、円高メリットのある内需株にとっては好感されたとしても、日本株全体では下落圧力の方が勝る可能性が高いです。
11月と12月は、過去の月間騰落率の統計から見ると上昇しやすい傾向があり、多くの投資家が期待する年末株高のシーズンです。ただ、先ほど紹介したように、「過熱感への警戒」「年末にかけての損失確定売り」「円高転換」といったリスク要因から、一時的に調整局面を迎える可能性が高まってきている点には警戒を持っておきましょう。