ChatGPTがコードを書けてしまうのであれば、マネージャー自身がChatGPTに指示を出して、その内容を確認したり、修正の指示をすればいいだけです。エンジニアは不要となり、マネージャーが一人いれば事足りるようになってしまう。今後、新人エンジニアが育つ環境が一気に減るのを危惧します。人に頼むよりAIに頼んだほうが簡単だと感じるマネージャーもいるでしょうし、そもそも新入社員よりもAIのほうが仕事が早いという状況も出てくるかもしれません。
生成AIと権利ビジネス
オーディオコンテンツやイラストの権利を売買している会社も、生成AIの影響は避けられません。なぜなら、生成AIを使えば、権利上ギリギリ問題のない範囲で、クリエイティブを制作することができてしまうからです。
この時、「我々の権利はどうなるんだ」と叫ぶより、さっさと次の世界へ行ったほうがいいと思います。
そもそも、世の中には著作権が曖昧なものがあふれています。たとえば、方言を商標登録するような動きもありましたが、そもそも方言について、誰が言いはじめて誰が権利を持っているかなんてわかりません。同様に、AIによって制作された限りなく生身の人間に近い顔の画像も、その成分をたどることは不可能です。イタチごっこは延々と続くので、その決着を待っているくらいなら、自分なりに使いこなしてしまったほうが得策でしょう。
AIにとって面倒くさいのは「人間」
では、人間にしかできない仕事として何が挙げられるでしょうか。AIにとって一番面倒くさい仕事は、人間です。
人の気持ちをよくする、人の心を動かす、孤独を癒す、人と人の間に入る、人が喜ぶイベントを企画する、関係者が納得するような資料を作るといった、人の面倒くささの中に成り立っている仕事はいくらでもあります。
具体的には、人の心を動かすコーチングやリーダーシップが求められる仕事、高額なサービス業、インフルエンサーなどは今後も必要だと思います。これらに共通するのは「人間性」が強みになることです。
実際、今でも人の気持ちを汲んでマネジメントできる人材は、どの会社にも足りていません。飲食店でも人手不足が叫ばれていますが、とりわけお客様を喜ばせるような接客ができる人材は深刻に枯渇しているようです。このままだと、将来は高級店でのみ人間が接客をし、安いお店は完全にタッチパネル・機械が接客を担う、というように飲食業界のあり方が二分されていくはずです。