快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

レクサス初のBEV専用モデル「RZ」の実力検証 迫力満点の“スピンドルボディ”は強力モーターで静々と力強く加速していく

隅々までSDGsにこだわり、プレミアムを完成させた

 従来の高級車だとウッドやレザーを多用することで高級感を演出することになるでしょうが、今では通用しません。それは自然破壊にも通じる行為にもなると評価されるのです。

 レクサスはシートにはウルトラスエードという、手触りの良い質感と高い耐久性を持ち合わせた高品質なスエード調人工皮革を使用しています。人工皮革と言っても脱石油依存社会へ貢献すると同時に、温室効果ガス排出量を石油由来製品より抑えるために一部、植物由来原料化を実現。その他にも室内の素材は、多方面での持続可能性、つまりSDGsに貢献することを目標とした素材や仕上げが行われています。こうした取り組みはすべての車にあてはまるのですが、高級車ほどそうした貢献度が問われる時代になったわけです。

 当然ながらそうしたレクサス流のこだわりや思想、それに合わせた作り込みによって上質感はかなり高く実現できています。実に穏やかな気持ちのまま、ロングドライブをこなしてくれるはずです。

 では、この広くゆったりとしたキャビンで味わえる走りとはどんなものでしょうか? その答えは走り出してすぐに出てきました。RZは全車4WDです。トヨタでは「DIRECT4」と呼ぶ4輪駆動力システムで、すでにbZ4Xでも、そのドライブフィールのよさを経験しています。ただしRZの出力は、フロントには最高出力150kW(203.9馬力)、リアには80kW(109馬力)という強力なモーターを与えています。

 ベースとなったbZ4Xの4WDモデルが前後ともに80kW(109馬力)であることを考えると、駆動用モーターのスペックからも力強い走りが実現できています。パワーにゆとりがある分、静々と、しかし力強く車重2トンを超えるボディを、ゆとりを持って加速させていきます。

 またボディ剛性はベースとなった車よりも高くなっているのでしょう、プレミアムと呼ぶにふさわしく、振動も少なく、騒音が抑えられた上質なキャビンに仕上げられています。これにBEVとしての静かさが加わるのですから、走りの満足度も高くなります。

 ここまで上質に仕上がったRZですが、BEVとなれば、やはり一充電あたりの走行距離494km(WLTCモード)をちゃんと実現できているかどうかが重要です。駆動用のリチウムイオン電池は総電力量が71.4kWh(bZ4Xと同じ)です。今回のテストでは総走行距離700kmあまりの平均電費は5.9km/kWh(1kWhあたりの走行距離)でした。それを元に満充電での走行距離を計算すると71.4kWh×5.9km=421.12kmとなりますから、カタログ値の達成率約は85%と満足できる数字でした。

 当然ながら快適なグランドツーリングを楽にこなしてくれるのですが、その価格は880万円(税込)。ここからエコカー減税約3万7500円、グリーン化特例約1万8500円、そしてあくまでも参考ですが令和4年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」85万円、合計約90万6000円の優遇が受けられます。それでもなかなかの金額ですが、当然それはプレミアムブランド、レクサスにふさわしい価格であり、そして十分にふさわしい内容だと感じながらのロングドライブでした。
 

低く構えたフロントから、リアフェンダーを隆起させながらボリューム感を維持しながらダイナミックスタイルを実現して印象に残るリアデザインを完成させた

低く構えたフロントから、リアフェンダーを隆起させながらボリューム感を維持しながらダイナミックスタイルを実現して印象に残るリアデザインを完成させた

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