通常なら契約は本人でなく代理店が対応するが
ニューバランスのチーフマーケティングオフィサーは、今年3月の『フォーブス』の取材にこう答えている。
〈ショーヘイが年間で日本市場に与える商業的インパクトは数千万ドルに達する。このレベルの野球選手は今の世代では彼が最初で最後だろう〉
大谷が先日、日本全国のすべての小学校に寄贈した6万個のグラブもニューバランスのものだ。スポーツ紙やテレビ局がこぞって報じ、同社は改めて大谷の広告効果の大きさを実感したことだろう。スポーツジャーナリストの広尾晃氏は、突然の「電撃移籍」の背景についてこう分析する。
「大谷選手レベルの超大物になれば、契約は本人でなく代理店が対応し、ビジネスの観点から決定することが一般的です。しかし、彼の場合は自分自身で、自らにとって良いか悪いかで決めているように見受けられます。
アシックスは日本企業で、大谷選手が長年愛用したメーカーですが、そうした義理立てをせず、野球にプラスに働くかをシビアに見ているのではないか。用具やウエアだけでなく、良質な眠りをサポートする西川や、体をケアするバンテリンブランドを持つ興和なども、そうした意識で選んでいると思います」
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